高知市の花街道よりこんにちは。
カツオにたっぷりニンニクをのせて食べるのが好きな「高知。おまちRASHISA」編集長の小川です。
高知県でニンニクに合う食べ物といえば「カツオ」と答えるひとが圧倒的。しかし、グルメの感度がたかいひとに人気の「ニンニク×〇〇」があるんです。その名も「ガリアジ」。
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1年半かけて生み出された究極のアジフライ。それが高知市にある「龍禾」がつくる「ガリアジ」だ。

高知市には知る人ぞ知る究極のアジフライがあるんです。その名も「ガリアジ」。名前の由来は「ガーリックアジ」、「ガリガリした食感がするアジ」からきています。
「ガリアジ」が世に出たばかりの時は冷ややかな目で見られていたそうです。とあるスーパーのバイヤーからも「こんなもん絶対売れん!!お店の評価がさがる」とはっきり言われたとのこと。
「1度食べたら他の人に紹介したくなるようなもの、魚ぎらいの子供が魚好きになるようなアジフライをつくるために1年半かけて開発した」。そう話す「龍禾」の高橋さん。

絶対売れないと言われたガリアジは、とある店頭販売で1日に1000尾を売るという奇跡を生み出したのです。
そして、毎年高知県で開催される「土佐の食1グランプリ」で見事優勝を果たしました。(東京の六本木で開催された 『Fish-1グランプリ』でも準優勝)
じつはこのガリアジ。毎年ハワイで高橋さん自ら実演販売をされているのですが、年1回の販売を楽しみに待ってくれている現地のファンがとても多いのです。
また、商品の営業を一切しない方針の高橋さんのもとへ、全国の量販店の社長やバイヤーから「ぜひうちで販売させて欲しい」というオファーが途絶えないそうです。
1度食べたらひとを虜にしてしまう究極のガリアジをつくった「龍禾」の高橋さんに「ガリアジ」開発の想いをインタビューさせてもらいました。
「龍禾」の高橋さんへインタビューした「ガリアジ開発ストーリー」

ーーなにがきっかけで魚の加工会社をはじめようとされたんですか?
高橋さん まだ若いころ15年間ぐらい生コンの会社で働いていました。毎日毎日コンクリートの灰色にかこまれて仕事をしていたんですが、飽きてしまい我慢ができなくなったんです(笑)。
生コン会社を辞めた後、居酒屋で鮮魚を仕入れる仕事をやらせてもらいました。毎日ひたすら市場まで行き、魚を買いつける仕事です。
しばらく仕入れの仕事をしていたんですが、ある時市場のひとから「魚の切り方や加工方法教えてあげるから、ひとりでやってみたら」と言われたことをきっかけに居酒屋の仕入れを辞めました。
まずはじぶんで干物や切り身をつくって集合住宅1軒1軒へ売り歩きました。妻の職場のつてで従業員向けにお弁当づくりもやりました。
じつは、そのお弁当に入れた「アジフライ」が美味しいと評判になったんです。「お客さんがこのアジフライでこんなに喜んでくれるなら、アジフライで食べていけるかも」とその時思いましたね。
ーー「アジフライ」の好評から「ガリアジ」はどのように生まれたんですか?
高橋さん お弁当で評判になったアジフライは、誰がつくっても同じように美味しいアジフライです。アジフライで食べていけるようになるには、誰でも作れるものを作ってもしょうがないと思ったんです。
とにかく自分にしか作れないアジフライをつくり、だれが食べても1回でハマってしまうようなアジフライでないと駄目だと考えました。
もちろん魚によっても大きさや味にバラつきがあるので、一匹丸の状態で仕入るようにしたのです。
実際、いまの「ガリアジ」ができるまで1年半ちかくかかりました。どんな味付けにしようかネットで探しても味付けのアジフライはありませんでした。その後、思いつくかぎりの調味料を買い込み、毎日試作品をつくり、100種類以上トライしてみました。
半年くらい試作品をつくり、消去法で残ったのが「ガーリック」だったんです。しかし、まだそれで完成ではありませんでした。

もしガリアジを誰かにすすめられて「付き合い」で買ったとしても、本当に美味しくなかったら、もう次に買ってもらえることはないと思うんです。
「美味しかったから次も買いたい。誰かに食べてもらいたい」と思ってもらえるようにならないと駄目なんだと思いました。
そして、最適な衣の付け方や味付けの加減などの改良を1年ちかく続けました。毎日、アジフライを改良しては揚げて食べるの繰り返しに、さすがの妻からも「しつこい」と言われました(笑)。
でも、妻1人を感動させることができなければ、お客さんに喜んでもらいことなんてできないんです。
なので、ガリアジを買いに来てくれるひとはほとんどが「誰かのおすすめ」なんです。それで、おすすめされて食べると「ほんとに美味しい」とみんなが喜んでくれるんです。
じつは、娘が大の魚ぎらいでまったく食べなかったんです。しかし、1年半かけて開発したガリアジは大好きらしくたくさん食べてくれます。

ーー地元の小学校で給食にガリアジがでると聞いたんですが、ほんとですか?
高橋さん ほんとですよ。魚ぎらいがおおい現代っこも給食がガリアジのときは1匹も残さずに食べてくれるみたいです。
給食のトレイに残ったガリアジの衣も、ご飯にふりかけみたいにかけて食べるそうです。ほんとにうれしいですね。職人冥利につきます。
だいたい、10時頃からガリアジをつくりはじめるそうですが、学校中にガーリックの香りが漂い、子供たちがそわそわし始め、勉強が手につかないと先生にききました(笑)。
ーーこども達に食べてもらうよう、ガリアジは小骨をすべて取り除いているって聞きましたが、特にアジの骨抜きって大変ではないですか?
高橋さん もう慣れてなんとも思いません(笑)。最初の頃は1日に30匹ぐらいしか加工できなかったんですが、今は500匹は作れますよ。
ーーひとりで500匹ってすごいですね。たしかに魚の小骨を嫌がるこどもって多いと思います。
高橋さん 自分も子供の頃は毎日魚を食べさせてもらってました。しかし、今のこども達って美味しい魚にめぐり合ってないんじゃないかと思うんです。
魚には独特の臭みがあるんですが、きちんと下処理をすればその臭みをとりのぞくことはできるんです。そして、骨もきちんと抜いてあげれば美味しく魚を食べれます。
ガリアジの加工にこだわるのは、こども達に美味しい魚を食べる機会をつくってあげたいというのがもう一つの理由なんです。
子供って1回でも美味しくない魚にあたってしまうと魚ギライになるんです。ほんとは魚ってこんなにも美味しいのにもったいないですよね。

ーー全国的に「不漁」がつづいているようですが、ガリアジのアジには影響ありませんか?
高橋さん アジは深刻な不漁が続いているので、室戸市にある水産会社にお願いしてアジが揚がったときに「急速冷凍」をしてストックするようにしています。
ただ、この不漁がつづくとガリアジの生産能力を増やすことができないのが問題です。ガリアジのファンは毎年少しずつ増え、出荷量も右肩上がりに増加しているからです。ほんとに悩ましい問題です。

ーーアジを加工する1日の作業時間はどれくらいなんですか?
高橋さん ガリアジは丸の状態のアジからさばくので、今は日中と深夜の2回に分けて加工してます。
まず、夜中の1時から3時間ほど作業します。日中は8時頃から14~15時頃までの作業です。

ーーえっ!!真夜中に作業されてるんですか?
高橋さん そうです(笑)。前は日中だけの作業だったんですが、朝から19近くまで作業すると疲れて眠たくなってくるんです。
今は21時頃にこどもと一緒に寝て、1時に起きて作業しまた2時間ほど寝るようにしてます。もう年とると長い時間の作業がキツイからね(笑)。夕方は家でゴロゴロする方がいいです。
- 9:00~15:00 アジの加工作業
- 16:00~ 子供の送迎(小学校)
- 21:00~1:00 就寝
- 1:00~4:00 アジの下降作業
- 4:00~6:00 仮眠
- 7:00~ 子供の送迎(小学校)
龍禾のガリアジ「店舗情報」

残念ながら「龍禾」がある自宅兼作業場は「超」がつくほどたどり着くのが難しい。中には5~6回ぐらいまわりをグルグルまわった挙句、あきらめて帰るひとがいるぐらいなのです。
- 場所 高知県高知市春野町甲殿1422
- 電話番号 088-842-7775
- 販売時間 平日8:00~15:00(ただし、魚の仕入れなどにより不在の場合があるので、電話で確認していただくのが確実)
- 駐車場 あり(1~2台)
土日に来てもらっても良いとのことですが、イベントなどが入ると不在の場合があるので、予め電話で確認をしてください。
駐車場について
こちらが「龍禾」の自宅兼加工場。駐車場はこの写真の右側のスペースです。ご家族の車をふくめ2台駐車可能です。駐車スペースが空いていれば2台駐車OKだそうです。

「龍禾」の場所について
とにかく超絶分かりづらい場所にあります。看板もありません。目印は唯一「青い屋根」。しかし、車で走っていても「青い屋根」は直前にならないと見えないのです。

直前に信号機があるんで、そこから300メートルぐらいに「龍禾」はあります。車なら速度にもよりますが10秒ぐらいで着くでしょう。
商品について
「龍禾」で購入できるのはこの2つの商品になります。
- ガリアジ(冷凍) 1尾200円(税込)
- さばみ(冷凍) 1尾150円(税込) ※すべて冷凍での販売。1枚単位で購入できます。
「さばみ」は「みそ味の鯖フライ」です。こちらは龍禾の新商品。どちらも在庫は切らさずに販売できるとのことです。

ガリアジの調理方法
調理方法は意外と簡単。皮面を表にして170~180℃で3~4分ほど揚げるだけ。ひっくり返す必要はありません。

ガリアジの口コミ
インスタの投稿より~ \(*^▽^*)ノ
ツイッターの投稿より~ (@`▽´@)/ ハイッ
晩飯あまり食欲がないき
— てんくろうリハビリ中! (@e51z1) 2016年7月18日
水分と「ガリアジ」
を買ってくれちょって
ガリアジ食べたけんど
こぢゃんち旨い!にんにくが
よう効いちゆ衣もサクサクで
アジがデカい!25cmオーバー
ありそうなちや
食べきれんかって残したき
ガリアジ旨かったぜよ!#ガリアジ
花街道ぞいにある
— 高知の美味しいもの食べ隊 (@yuzukatuo) 2017年10月21日
りゅうき(名前でない💦)
のガリアジを高岡のレストパーク的なハレタでいただきました。
揚げたてザックリのアジフライは、一口食べると口いっぱいにガーリックの香りが広がる一品
大きめのアジフライは、食べ応えも十分あり
美味しいので是非ビールで流し込んで下さい pic.twitter.com/iQOHpUWKQd
インタビューを終えての感想

今回、取材させていただいた「龍禾」の高橋さん。
とっても気さくな方で、1時間近くのインタビューでしたが終始楽しくお話しさせていただきました。
元セメント会社で15年勤務していたという経歴を持つ高橋さん。脱サラしてからガリアジを開発するまでは苦労の連続。決して順風満帆とは言えない日々だったというのを感じました。
お話しをお伺いしている中で、よく口にされていたのが「子供たちの魚ぎらいが心配」ということ。ご自身の娘さんも大の魚ぎらいだったのが、今ではガリアジやさばみが大好物。
ガリアジを通して「魚をもっと子供たちにたべてほしい」という想いに強く共感しました。
もしこの記事をご覧になっている方で、子供がどうしても魚を食べてくれないと悩んでいる方がいらっしゃったら、ぜひ「ガリアジ」を食べさせてあげてください。
にんにくが苦手でない限り、子供は喜んで食べてくれるでしょう。わたしの5歳の息子も1匹ペロリと食べてしまいます。
横浜市から高知市へ35歳で移住した田舎暮らしに憧れる編集長の小川みのる(@Twitter)です。1部上場企業を退職。家族の介護の為に高知へ。「よさこい、お酒に寛容な県民性、高知らしいレトロな建物」が大好き。サラリーマンをしながら日夜執筆活動をしています。次の世代へわたしの好きな「高知らしさ」をバトンタッチするためにウェブジャーナルを運営中。趣味でトレランをしています。